更新日:2014年7月4日

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目 次

2014年7月4日:中村好文さん設計の建物を訪ねて

2009年9月2日・4日:坂倉準三展



■2014年7月4日:中村好文さん設計の建物を訪ねて(2013年秋)

  中村好文さん設計の、「秋篠の森Hotel ノワ・ラスール」、「レストラン ルスティク」を訪れました.(※ノワ・ラスールは改修)

             Hotel ノワ・ラスール外観.森の中で落ち着いた雰囲気を醸し出している.         アプローチのテラスからホテルレセプション(レストラン兼用)入り口を見る.
                                                                   向かってデッキを左側へ進むとホテルロビーへ、右側に見えているのがレストラン「なず菜」.

秋篠の森 Hotel ノワ・ラスールに宿泊してきました.
秋篠の森の敷地内には、ホテルのほかに、レストラン「なず菜」、ギャラリー「月草」があり、散策ができるようになっています.
Hotel ノワ・ラスールは、2室だけの小さなホテルです.
落ち着いた環境の中で、とても安らげる滞在となりました.
さりげなくて、主張しないインテリアでありながら、ファブリックや小物に至るまで、考え抜かれていることに、じわじわと気付かせてくれる空間です.
部屋にあるテラスから眺める森の眺望も抜群ですし、様々な自然の声も感じられます.
レストランは、ディナーのほかにランチも楽しめて、宿泊していなくても、訪れることができます(朝食は宿泊者だけです).
素材にこだわり素朴で手の込んだ食事は、とても堪能することができます.

秋篠の森 http://www.kuruminoki.co.jp/akishinonomori/

こちらは、ホテルに宿泊する日のランチで訪れた「くるみの木」というカフェです.
ホテルと同じ石村由紀子さんのお店です.
というよりは、こちらのお店の方が先輩で、今年で30年を迎えるそうです(ちなみにホテルは2004年からで今年で10年目).
カフェのほかに、雑貨、食材、服飾などのお店があります.
こちらも秋篠の森と同様に、素朴で落ち着いた空間です.
カフェでは、素材にこだわった食事が頂けます.

なお、「くるみの木」と「秋篠の森」の詳しい内容は、「愛おしいものたち」石村由紀子さん著に書かれていますので、是非ご一読をお勧めします.

くるみの木 http://www.kuruminoki.co.jp/ichijyo/cafe/

                                                         レストラン ルスティク RESTAURANT RUSTIQUE 建物外壁に設置されたサイン.

宿泊の翌日、同じく中村好文さん設計のレストランへランチを頂きに行きました.
10人も入ればいっぱいになる小さなレストランです.
建物の中で、入れる範囲は限られていますが、さりげなく空間の演出が感じられます.
いくつか挙げてみると、客席テーブルと出窓カウンターの高さがぴったり揃っていて、その出窓のコーナーは方立がなく、引き戸を開け放てば解放感抜群です.
ここからの景色も抜群でした.
また、細かいですが、このコーナーの建具は、閉まっているときに建具の見付が同じになるように調整されていて(普通は勝ち負けでどちらかが大きくなってバランスが悪い)、設計者のこだわりが見えます.
ベンチ席には微妙な勾配の付いた連続背もたれが設置されています.
切り妻屋根をずらしたハイサイドライトからの自然光は、客席を有効に明るくします.ロビーエリアと客席エリアを隔てる袖壁の存在と、ロビーエリアにある小さな待合の心地よさもなかなかです.
もちろん、その脇にあるコート掛けや玄関脇にある傘立ても見のがせません.
そして何よりの心地よさは、シェフとマダムの存在ではないでしょうか.
素材を生かした料理やサービスに2人の人柄がとても現れていて、とても有意義な時間を過ごすことができました.

レストラン ルスティク http://restaurant-rustique.com/

今回3件を訪れて、様々なことを感じ取るとこが出来ました.
その中でも大切なことは、オーナーとなる人がどこまで目を行き届かせられるか、逆に目の行き届く範囲にとどめること、そのために信頼できるパートナー、スタッフと思いを共有するということを改めて感じました



■2009年9月2日/4日

「坂倉準三展」に行ってきました.

正面アプローチから美術館を望む

○坂倉準三展が鎌倉神奈川県立近代美術館鎌倉館とパナソニック電工汐留ミュージアムで同時開催していたので、2日に分けて両展示を見てきました.


○鎌倉館では、人間、都市、空間をテーマに、汐留では、住宅、家具、デザインをテーマにそれぞれ展開しています.

○鎌倉館は、坂倉準三氏自ら設計した建物です.
ル・コルビュジェの弟子でもあった坂倉準三氏設計の美術館で、国立西洋美術館のように渦巻き状に増床できるように考えられていたようです(実現はしなかったが・・・).
基本的に外周部には窓がなく、採光は当初は存在していたトップライトから取り入れていた事が、それを物語っています(残念ながら雨仕舞の関係で、現在はトップライトは覆われてしまっている).

○ところで、建築関係の方.上の美術館全景写真でお気付きだろうか?
坂倉氏にしては、立面のプロポーションに違和感を感じないだろうか?
そう!妙に笠木の見付けが大きく感じるではないか.
自分もスケッチをしながら不思議な感覚だった.
その後展示説明の中で、前述のトップライト塞ぎの改修工事の時に笠木の見付けが大きくなったという事が判明した次第であった.

○ちなみに、当初の笠木見付け寸法は109mm、1968年の屋根改修に伴い現在の見付けは約700mm程度である.

○色彩についても、当初は茶、緑、赤、黄と色彩豊かであったらしいが、その後のメンテナンスの中で、徐々にモノクロームの世界になっていったようだ.

○展示の事よりも建物の事ばかりになってしまったが、それにしても1951年に竣工してから約60年近く経過しているが(ちなみに国立西洋美術館は1959年竣工)、長く大切に使われている事に感謝である.